俳句 – 日本の四季 早春 –

日脚が少しずつ伸びて春の予感のする季節になりました。2月4日の立春を迎えると、暦の上ではいよいよ春の到来となりますが、寒さにはまだまだ厳しいものがあります。

冴えかへるもののひとつに夜の鼻  加藤 楸邨(かとう しゅうそん)

冴え返るという季語は、暖かくなりかけた頃に冴え冴えとした寒気が戻ってくることを意味します。夜道を歩いて帰宅した後に、外気を吸い込んだ鼻が一番冷たくなっていたことはありませんか。何気なく手に触れた鼻先がとてもひんやりしていた経験もあるでしょう。五感を研ぎ澄ませて廻りくる季節の変化を受け止めることにより、実感のある句が生れます。


春の兆しを風や日差しに感じ始めると、自然に心もうきうきしてきます。しかし一方、この時期には現代病の花粉症に多くの人が悩まされています。

花粉症鉄の女と言はれても  大元 祐子(おおもと ゆうこ)

女性として初めて英国首相となった信念と決断の政治家、マ-ガレット・サッチャ-の代名詞は「鉄の女」でした。この句の作者も男性の多い職場で、日々テキパキと仕事をこなしているのでしょう。しかし、花粉症の時期になるといつも通りという訳にはゆきません。鉄の女と言われても、と余韻を残して詠むことで、鼻はグスグス、目もショボショボ、それでも書類はどんどん溜ってしまうという、ほとほと困り果てた状況がおのずと見えてきます。


雪は冬の季語ですが、春先に降る淡雪や牡丹雪などは春の季語になります。

受けとめて束の間熱き牡丹雪  丹治美佐子(たんじ みさこ)

春の雪の特徴は、降るそばから溶けてしまい積もることがないことです。雪結晶がたくさん絡み合い牡丹の花びらのような大きな雪片がふわりふわりと大空から舞い降りてきたら、思わず手の平に受け止めたくなります。実際にあっという間に溶けてしまったその雪からは、冷たさというよりもむしろ温もりが伝わってきました。積ることのない春の雪のはかないメッセージだったのでしょうか。


平成21年2月1日   『未来図』 丹治美佐子

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