俳句 – 日本の四季 冬 –

平成20年もいよいよ最後の月を迎え、凩にコートの衿を立てる季節となりました。この時期には、春のように花々が豊富ではありませんので、霜に強く12月から1月の寒い時期に小ぶりな黄色い花を咲かせる寒菊は、ひときわ私達の目を引きます。

寒菊や母といふ字は帯締めて  藤田直子(ふじた なおこ)

漢字で母と書くと、真横に一本棒を引いた形になります。その棒を帯に見立てたことで、着物姿の様子が見えてきます。普段使いの紺絣に真白な割烹着を掛け、慎ましく控えめでありながらも、時には家族の為なら芯の強さも見せるお母様なのでしょう。小ぶりながらも寒さに耐えて明るい黄を放つ寒菊と響き合って、いつも家族のことを一番に考え、まめまめしく働いている健気な母親像を窺い知ることが出来ます。


私の母も夜なべをして、姉や私にセ-タ-をよく編んでくれました。

毛糸編む午後の日差しを掬ひ取り  丹治美佐子(たんじ みさこ)

ゆとりがないと、なかなか編み物をすることは出来ませんが、窓から冬日の差す部屋で毛糸を編んでいると、気持ちも解れて一目一目に午後の日差しを編みこんでいるような気分になります。毛糸を編むという行為は、編んでいる本人もまたそれを見ている人の心も優しくさせるのではないでしょうか。


12月は、他の月とは違って、新しい年を迎えるために家中の煤払いをしたり、松飾を買ったりと、いろいろ用意することがあります。汚れたり傷んだ畳を新しくする畳替えもその一つで冬の季語になっています。

大の字にちよつと寝てみる畳替へ  丹治美佐子(たんじ みさこ)

青々とした畳表を敷き詰めたばかりの部屋は、箪笥などの家具がまだ置かれていませんから、いつもより広々として本当に大の字に寝てみたくなります。新しい畳にごろんと体を預けると、藺草の香りが胸いっぱいに広がって、清々しい気分になったことを今でも覚えています。年末には家族総出で大掃除をして、晴々しい気持ちで新年を迎えることができれば、昨今の家族間での悲惨な事件は、少なくなるのではないかと思ったりもします。

平成20年12月1日  『未来図』 丹治美佐子

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