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俳句 - 日本の四季 新年 -

世の中はどんどん便利になり、お正月の三が日にお店が閉まっていて困ることなどなくなりましたが、その一方では、お正月の雰囲気が少しづつ薄れていくようで淋しい気もします。それでも、新しい年を迎えるということは、心引き締まるものに変わりはありません。

 

 

火も水も星もありけり年新た  鍵和田 秞子(かぎわだ ゆうこ)

 

 

政治の混迷、金融危機に大量解雇等、私達の生活に押し寄せる波は、日々厳しいものがあります。そのような状況でも、煮焚きをして暮らせる喜び、夜空に瞬く星の輝きは、私達に希望を与え勇気を奮い立たせてくれます。火も水も、そして、星もありけり、と畳み込むように詠むことで、句の奥行きは、はてしない宇宙への拡がりを見せます。日常の暮らしへの感謝に加えて、これから踏み出す第一歩に活力を与えてくれる新年に相応しい句だと思います。

 

俳句では、初笑、読初、初湯、買初、初写真等、年が改まってから行う多くの事柄が新年の季語になっています。初鏡もその一つで、初めて鏡に向かってお化粧をすることです。

 

 

人相をととのへて見る初鏡 飛田 小馬々(ひだ こまま)

 

 

初めて鏡に向かう元日の朝は、少し改まった気持ちで、今日から始まる一年への意気込みを鏡の中の自分に確認してみたりもします。この句の作者は、鏡の前で口角を上げたり、頬っぺたを膨らませたり、はたまた鼻をつまんでみたりしているのでしょうか。人相を整える、と言うユニ-クな発想から、ちょっとおどけた作者の仕草や今年への気構えも感じられる楽しい句です。

 

日本には、お正月に人家の門前で歌ったり芸をみせる獅子舞や春駒の門付け芸があります。これらを迎えることで、厄払いや一年の無事を祈る訳です。近年では各家を回る姿は見かけませんが、猿廻しもその一つです。

 

 

猿廻し人笑はせてなほ哀し  丹治 美佐子(たんじ みさこ)

 

 

芸を仕込まれた猿が竹馬に乗ったり綱渡りをする姿には、思わず関心してしまいますし、猿廻しとの息の合った寸劇には、思わす吹き出してしまいます。でも、どこかに心の底から笑えない何かを感じるのは私だけでしょうか。食べる物や寝る場所に困らずにいても、猿にとっては、本来の野生で生きることがもっとも自然な形です。その事実を一番痛感しているのは、芸を教え寝食を共に世話をしている猿廻し自身かも知れません。

 

平成21年1月1日 『未来図』 丹治美佐子